コンセプト
- 地域ポイントを使用した相互補助サービスを前提としたシステムの仕組み作り
活用シーンイメージ
- 地域で助け合いを行う上でのマッチングと対価としての地域ポイントの活用
- 地域内で副業等を行う際の、マッチングと対価としての地域ポイントの活用
令和元年度実証事業での課題・掘り下げプロセス
- 高齢者による交通事故の多発により、免許返納を積極的に推奨する動きの中で、免許を返納をしたことによる高齢者の買い物や通院などへの影響が出ている
- 地域の中で助け合うことを進めていかなければいけないが、謝礼などのやり取りがお互いに気まずさを作ってしまい逆に疎遠になってしまうケースもある
- 「お願いしたこと」「やってあげたいこと」をマッチング出来て、現金や物ではなく地域ポイントを対価として活用することで気兼ねの無い気持ちの良い助け合いの実現が出来ないか
実証事業
令和元年度
- 企画:仕様検討
システムの仕様検討は以下の手順で行った。
- 目的・ターゲットの設定
- 必要な機能洗い出しと機能一覧整理
- 仕様書の作成
- IT活用者・非IT活用者が一緒に使えるコミュニティを作る
- 間を仲介するためのオペレータの役割を定義する
- 一つのシステムの中で複数の地域が独立して運用できるようにユーザレベル、データベースの設計を行う。
【ユーザレベル】
システム管理者(全体)
サービス管理者(地域単位)
ポイント管理者(ポイント交換所)
一般ユーザ
- 企画:開発
システムの開発はアローリンクス㈱に委託した。
サービス名称は「くるくるサービス(仮称)」とした。サービスとシステムのイメージは以下図の通り。
※図4:「くるくるサービスイメージ」
※図5:「くるくるシステムイメージ」
- 企画:実証準備
開発したシステムのチラシを制作し、実証先との調整を行った。
チラシは、システムの開発等についての詳しい知識やスキルを持たないメンバー全員で考えることにより、実証時に利用者や提供者となる地域住民目線の構成となるように制作した。チラシの詳細は、別紙4-2-1を参照。
実証先は、課題の原点となった日頃市町・関谷地区を設定した。調整に伴い、地域のまとめ役との打合せや、住民の集まるお茶っこ会への参加を通してヒアリング調査を行った。
ヒアリング調査の結果、実証は以下2点に留意しながら来年度進めることとなった。
- スマホを持たない住民もいるので、スマホを使わなくても良い仕組みにする
- 「関谷地区以外の人に依頼をするのは、未だ抵抗感がある」との意見を受けて、実証エリアは関谷地区内に留める。
令和2年度
- 実証概要
実証期間:2021年3月10日~2021年3月25日
実証参加者:日頃市住民3名 地活研スタッフ3名
実施条件:30分 300ポイント
住民3名
- 実証考察
- 利用者の満足度は予想以上に高かった。
- 病院への送迎等の要望が多いが、往きと帰りとの間に時間が生じるので、依頼者発ではなく、提供者が病院に行くタイミングと依頼者をマッチングさせて相乗りさせた方がマッチングしやすい。
- 当初の予定以外で途中でスーパーに寄りたいなどのイレギュラーが発生している。住民同士では中々断れないケースも多いと思われる。当初システムで想定していたのは提供者がニーズを出すタイミングで提供ポイントを定める仕様にしていたが、サポート終了後にかかった時間ベースでポイントを決定して、それにQRコードで同意する仕様へ変更した方が使いやすそう。
- 予約は3日前までと規約上うたっていても当日に依頼が来たりしてしまう。あまりこれが頻繁におこると提供者側の負担が増えてスキームが成立しなくなってしまうことが懸念される。利用の手引きなど利用規約以外の分かりやすい資料を作っておいた方がよいかもしれない。
結果(分かったことや改善 ポイント・実証事業者の声)
- 地域助け合いを構成する上での、「依頼する側」についてはかなり需要がありそうだが、一方の「依頼を引き受ける側」については、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、これまでの所積極的な検討には至らなかった。
- 「依頼する側」はお金を出して地域ポイントを購入することには抵抗が無い。対価が明確になっている方が遠慮なく活用しやすいとの意見が多い。
- 「依頼する側」は出来るだけ顔が分かっている狭い地域の中で閉じたサービスになることを望んでいるのに対し、「依頼を引き受ける側」を調達することを考えると広範囲でないと現状は難しい。このギャップをどのようにすれば埋められるかが課題。
- ポイントの決定タイミングが作業終了後に確定するようにシステムを改善する必要がある。
2021年度の動き
新型コロナウイルス感染拡大により、他人との接触を避ける流れの中で検討が進まられていない。
自走化及びモデルケースとしての可能性
- 「依頼する側」はポイントを購入することについては抵抗が無いのでポイントのマネタイズは可能性が高い
- 「依頼を受ける側」については地域内だけで解決しようとするとかなり難易度が高くなりそう
- ボランティアベースでは最低賃金を下回るレベルであれば有償ボランティアとして認められる
- 市内事業者の中で「兼業禁止」を廃止される流れがある。事業者勤労者の「副業」とのマッチングの仕組みへの発展の可能性もある